手足口病



手・足・口に特有な発疹がでることから手足口病と呼ばれる。

流行時期:主に夏〜秋にかけて。最近では冬にも認められる。

好発年齢:5歳以下が90%を占め、特に1-3歳にピークがある。

原因:コクサッキーウイルスA16型、エンテロウイルス71型が多いが、コクサッキーウイルスA4、5、6、10型(CA10)の流行もみられる。

症状:
写真1〜3は、これまで例年見られた典型的な発疹で、おとなしい印象である。

 
 水疱様の丘疹、比較的小さな皮疹、口内疹が特徴である。
1〜5mm 以下の扁平な円形〜楕円形の小水疱疹が手掌、足底に好発し、紅暈(まわりが赤い)を伴う。水疱内容は白色であることが水痘と異なる。、数日内に飴色となり吸収され、やがて消失する
一方、皮疹は 米粒大の紅色丘疹で、手背、足背に分布するが乳児では臀部にも出現する。水疱、皮疹は痛みは伴わない。
口内疹は口蓋弓、硬口蓋、軟口蓋、頬粘膜、舌、歯肉に1〜5mmの水疱,潰瘍形成がみられ、痛みを伴うが、数日で治癒する。丘疹および水疱の数には個人差がある。
 約30%に38 ℃の発熱が1-3日みられる。CA10 の有熱率は他の約2倍である。

一昨年までは水疱は殆ど手掌と足底に見られるのみで、腕や胸、背中、脚には目立たなかった。
   

 
現在(平成27年7月)流行している手足口病は発疹の好発部位と形状が例年とかなり異なる。下段4枚の写真は例年よりも症状が激しい。
写真4、5の水疱はいずれも大きく、写真5では右母趾の爪が剥けている。
写真6の水疱はほとんど水痘に近い。しかし、手足口病発疹の表面は水痘よりも分厚い(水痘の表面は薄い)。
写真7では手掌・足底ではなく、下肢屈側に多発している。これまで見られなかった症状である。


潜伏期間:3-7日。

感染期間:ウイルスは口腔内に排泄され、飛沫感染する。また、便中に排泄され、経口(糞口)感染をおこす。ウイルスの排泄期間は長く、咽頭からl一2週間、便から3−5週間排泄される。不顕性感染が多い。

保育所と学校の管理:

 不顕性感染も多く、ウイルス排泄期間が長いため、無熱ならば他への感染のみを理由にして登校(園)を停止する必要はない。

合併症:

 ごくまれに心筋炎、脳炎を合併することがある。エンテロウイルス71型では無菌性髄膜炎を合併することがある。稀には弛緩性麻痺などの報告もある。数年前、東南アシアで数十名の乳児死亡があった。

治療:

 口内痛のために水分摂取量が低下し脱水に陥らないように水分を十分補給するよう気をつける。食物は熱い物、酸味の物、醤油味は避け、牛乳、ミルクセーキなどしみない物を与える。熱がなければ入浴、シャワーは構わない。