流行時期:春から初夏に通常ピークがみられるが、近年流行が不規則化している。
原因:風疹ウイルスの経気道飛沫感染による。
好発年齢:予防接種の普及により激減したが、主に幼児・学童に多く、成人も感染する。
潜伏期間:2-3週間。
症状:
発熱、淡く小さい孤立性小丘疹、耳後部リンパ節腫脹が特徴で、俗に“3日はしか”ともいわれた。
[1]発熱:発疹出現1〜2日前より発熱し、2〜3日間続くが通常は発疹出現時に気付くことが多い。成人では発熱は持続、上昇傾向が強い。
[2]発疹:発疹は淡い紅色の小丘疹で麻疹に比べると小さく、癒合することはない。顔面、頚部より始まり3日間位で躯幹、四肢に拡がる。その後淡褐色〜淡黒色となり、出現部位順に消退していく。落屑はみられない。不顕性例も20〜30%ある。散発例では発疹だけで診断することは困難で、成人では発疹の程度も強い。
[3]リンパ節腫脹:全身のリンパ節が腫脹するが頚部,耳介後部,後頭部のリンパ節が触知されやすい。発疹期に著明で、大きさは大豆大からエンドウ大となり発疹出現前よりみられるが、ときに軽い圧痛を伴い3〜6日間で消失する。
ほかに、頭痛、悪寒、食欲不振などを訴え、結膜充血が著明に現れ咽頭炎所見を認める。
[4]先天性風疹症候群:妊婦が風疹にかかると、先天性風疹症候群児を出産することがある。白内障、心奇形、難聴、血小板減少症、肝脾腫、小頭症、低出生体重児などがみられる。先天異常の出現頻度は妊婦の罹患が妊娠第1か月で50%以上、第2か月で36%、第3か月で15%、第4か月で7%と特に妊娠早期に罹患した場合に高い。
特徴:罹患すれば終生免疫を獲得するが、稀に再感染が報告されている。
保育所と学校の管理:
風疹患者は発疹出現後7日間は人に感染させる可能性があるので、その間登校させない。先天性風疹症候群児は1歳頃までウイルスを排泄することがあるので感染源となる。妊娠早期の妊婦との接触は避ける。
合併症:
関節炎(小児には少なく、成人女性に多い。成人では5〜30%に合併する)はほとんどが一過性である。
血小板減少性紫斑病(3,000例に1例)は発病後2〜14日にみられる。
脳炎、脳症(6,000例に1例)は風疹出現2〜7日後に発症する。
治療:治療するより予防すべき疾患である。
予防接種:
平成18年4月より麻疹生ワクチンとの混合ワクチンとなり、1才と小学校入学前の2回接種となった。