気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などを中心とするアレルギー性の病気が増えています。最近の調査ではアレルギー症状を持つ人が15年間で3倍になっています。私が園医を担当している保育所では生後6ヵ月の乳児の3割にアトピー性皮膚炎が認められ、このうち2割に将来気道のアレルギー症状が発生することがわかりました。アトピー性皮膚炎は最近10代、20代の患者さんの増加と重症化が目立つと言われています。当院でのアトピー性皮膚炎患者さんの1割が11才以上の学童や成人です。また、顔面の紅潮発作やダーティネックといわれる頚部の色素沈着を伴う成人型アトピー性皮膚炎のお母さんの増加は以前には見られなかったことです。
アトピー性皮膚炎は後に述べるアレルギーマーチ(さまざまなアレルギー症状が子供の成長と共に次々と現れてくる、アレルギー症状の行進をいいます)の最初の一歩であることが多いだけに、皮膚だけではなく全身の問題であり、重要な病気です。
一方、当院に乳児期からアトピー性皮膚炎で通院していたお子さんの大部分は、学童期までに治癒とはいえないまでも軽快しています。これに対し、年長児のほとんどが転医された患者さんであり、ときには難治性です。
私見ですが、乳幼児期のアトピー性皮膚炎を治療することは成人ほどには難しくないと思います。この時期の手当てをキチンとしておけば成長と共にほとんどが治癒するのではないでしょうか。それとも一小児科開業医が診察するアトピー性皮膚炎はほとんどが軽症なのでしょうか?
この項目では当院でのアレルギー疾患についての患者さんへの説明と治療について述べます。イラストが多く、ダウンロードに多少時間がかかるページもあるかもしれません。それでも1ページのダウンロードには極力時間のかからないように心掛けました。新しい知見が入るつど更新しますので、時々覗いて下さい。